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形成外科学講座

形成外科とは

形成外科は、身体の表面に生じるさまざまな異常や欠損、変形に対して、形態と機能の両面から修復と再建を行う診療科です。対象は、先天異常、外傷、熱傷、手術後の瘢痕や変形、腫瘍切除後の組織欠損、慢性潰瘍、リンパ浮腫など多岐にわたります。しかし、形成外科の役割は、単に「形を整える」ことにとどまりません。失われた組織を補い、損なわれた機能を支え、その方らしい生活と尊厳を取り戻すことに、その本質があります。

わが国における形成外科の歴史は、およそ60年前に始まりました。耳や顔の奇形、手足の異常、あざや皮膚の病変など、それまで別々の診療科で扱われていた体表の問題を、一つの専門分野として体系化したことが出発点でした。その後、マイクロサージャリーの発展により、血管や神経をつないで組織を移植する高度な再建が可能となり、形成外科は大きく進歩してきました。

形成外科の最も大きな特徴は、その創造性にあります。患者さんの年齢、体格、病状、生活背景、そしてどのように治りたいと願うかは、一人ひとり異なります。そのため、形成外科では決まったひとつの術式を当てはめるのではなく、植皮、皮弁、組織移植、顕微鏡下手術、内視鏡手術、各種医療機器や材料を適切に組み合わせながら、それぞれの患者さんに最もふさわしい治療を設計していきます。医学的知識と精緻な手技、そして想像力をもって、その人にとっての最適解を形にしていく。形成外科は、まさに“クリエイティブな外科”であるといえます。

さらに、これからの形成外科は、組織の「形」や「量」を補うだけでなく、組織の「質」そのものを改善する時代へと進みつつあります。放射線治療後の組織、慢性炎症や虚血を背景とする難治性潰瘍、線維化によって硬く傷んだ組織は、本来備わっている治癒力やしなやかさを失っています。こうした組織を再び“治る組織”へと導く再生医療や新たな治療は、形成外科の未来を拓く重要な領域です。

自治医科大学形成外科学講座では、体表外傷、顔面骨骨折、熱傷、瘢痕?ケロイド、先天異常、腫瘍切除後の再建、慢性難治性潰瘍、リンパ浮腫など、幅広い病態に対応しています。なかでも、がん治療後の再建には力を注いでおり、とくに乳房再建では全国でも高い水準の診療実績を有しています。人工物による再建のみならず、自家組織を用いた、より自然で質の高い再建にも積極的に取り組んでいます。

また、15歳以下の症例に対しては、併設のとちぎ子ども医療センターの小児形成外科で治療を行っており、特に唇顎口蓋裂と頭蓋骨縫合早期癒合症に対して力を入れております。唇顎口蓋裂に対しては、形成外科?歯科口腔外科?矯正歯科?耳鼻咽喉科?言語聴覚士によって構成される唇顎口蓋裂ケアチームによる質の高い集学的治療を行っております。頭蓋骨縫合早期癒合症に対してはMCDO法という当院発の治療によって、非常に優れた結果を出しております。

形成外科が向き合うのは、傷や変形そのものだけではありません。その先にある、患者さんの人生と日常です。私たちは、一人ひとりに異なる悩みや願いに丁寧に耳を傾けながら、より良い形、より良い機能、そしてより良い未来をともに築く医療を目指しています。

形成外科で扱う疾患