移植外科【アニュアルレポート】
1.スタッフ(2025年4月1日現在)
| 科長 | (教授) | 佐久間康成 |
|---|---|---|
| 副科長 | (教授) | 大西 康晴 |
| 医局長 | (准教授) | 眞田 幸弘 |
| 外来医長 | (病院助教) | 平田 雄大 |
| 病棟医長 | (病院助教) | 堀内 俊男 | 医員 | (講師) | 脇屋 太一 |
| (助教) | 岡田 憲樹 | |
| (非常勤講師) | 水田 耕一 | |
| 松本 光司 | ||
| シニアレジデント | 2名 |
2.診療科の特徴
当診療科の特徴は、
- 病院をあげた支援体制のもと、新生児から成人に対応できる肝移植施設
- 胆道閉鎖症、OTC欠損症、メープルシロップ尿症、新生児肝移植などに対する肝移植数が本邦有数
- 消化器内科(小腸鏡治療)や放射線科(IVR)と連携した低侵襲の合併症治療
- 移植後10年生存率(約95%)が全国平均と比べ高く本邦最高
- 永続的な外来管理(現在、肝移植後患者は約400名)。当院で肝移植をされた患者さんは、2024年12月までに、21都道府県から425例であり、東日本の肝移植の拠点施設としての役割を果たしている。
- 小腸移植だけではなく、腎臓外科と連携し肝腎、膵腎同時移植など腹部臓器すべての移植に対応可能な体制を整えている。
認定施設
- 脳死肝移植認定施設(全国23施設)
- 脳死小腸移植認定施設(全国13施設)
- 脳死膵臓移植認定施設(全国19施設)
専門医、指導医
| 日本外科学会指導医 | 佐久間康成、大西 康晴、眞田 幸弘 |
|---|---|
| 日本外科学会専門医 | 脇屋 太一、平田 雄大、堀内 俊男 |
| 日本移植学会認定医 | 佐久間康成、眞田 幸弘、大西 康晴、平田 雄大、脇屋 太一 |
| 日本肝臓学会指導医 | 眞田 幸弘 |
| 日本肝臓学会専門医 | 岡田 憲樹、平田 雄大、佐久間康成、堀内 俊男 |
| 日本消化器外科学会指導医 | 佐久間康成、眞田 幸弘、脇屋 太一 |
| 日本消化器外科会専門医 | 岡田 憲樹、平田 雄大 |
| 日本肝胆膵外科学会高度技能指導医 | 佐久間康成 |
| 日本内視鏡外科学会技術認定医 | 佐久間康成 |
| 消化器がん外科治療認定医 | 佐久間康成、眞田 幸弘、岡田 憲樹、平田 雄大 |
| 日本消化器病学会専門医 | 眞田 幸弘 |
| 日本超音波医学会指導医 | 眞田 幸弘 |
| 日本小児栄養消化器肝臓学会認定医 | 眞田 幸弘 |
| 日本消化器内視鏡学会指導医 | 佐久間康成 |
| 日本臨床腎移植学会認定医 | 佐久間康成 |
| 日本膵臓学会指導医 | 佐久間康成 |
| 米国外科学会フェロー | 大西 康晴 |
| 腹腔鏡下移植用部分肝採取術プロクター | 佐久間康成 |
3.診療実績?クリニカルインディケーター
1)新来患者数?再来患者数?紹介割合
| 新来患者数 | 84人 |
|---|---|
| 再来患者数 | 2,871人 |
| 紹介割合 | 86.1% |
2)入院患者数(病名別)
| 病名 | 患者数 |
|---|---|
| 肝移植後 | 124 |
| 肝移植後胆管狭窄症 | 32 |
| 肝移植ドナー | 19 |
| 肝移植後胆管炎 | 17 |
| 胆管炎 | 11 |
| MASH | 11 |
| 胆道閉鎖症 | 10 |
| ALC | 9 |
| PSC | 6 |
| C型肝硬変 | 4 |
| PBC | 3 |
| 1型糖尿病、慢性腎不全 | 2 |
| ALF | 2 |
| LT後イレウス | 2 |
| LT後消化管出血 | 2 |
| LT後腸炎 | 2 |
| MASH、HCC | 2 |
| PBC(AIHオーバーラップ) | 2 |
| 胆管狭窄症 | 2 |
| 胆嚢結石症 | 2 |
| AIH | 1 |
| HCC | 1 |
| LT後PVS | 1 |
| SBP | 1 |
| アミロイドーシス | 1 |
| ウイルソン病 | 1 |
| グラフト肝硬変 | 1 |
| グラフト不全 | 1 |
| バッドキアリ症候群 | 1 |
| レジオネラ肺炎 | 1 |
| 右下腿蜂窩織炎 | 1 |
| 肝硬変症 | 1 |
| C型肝硬変、慢性腎不全 | 1 |
| 肝性脳症 | 1 |
| 肝膿瘍 | 1 |
| 気胸 | 1 |
| 左第2指打撲 | 1 |
| 消化管出血 | 1 |
| 消化管出血疑い | 1 |
| 鼠径ヘルニア | 1 |
| 多発肝嚢胞、ADPKD | 1 |
| 低Na血症 | 1 |
| 糖原病1a型 | 1 |
| 頭部外傷 | 1 |
| 敗血症性ショック | 1 |
| 肺炎 | 1 |
| 発熱 | 1 |
| 腹壁瘢痕ヘルニア | 1 |
| 門脈還流異常症 | 1 |
| 門脈狭窄、腹壁瘢痕ヘルニア | 1 |
| 脾動脈瘤 | 1 |
| 膵腎移植後腹痛 | 1 |
| 合 計 | 296 |
| 子どもセンター | 36(12%) |
| 附属病院 | 260(88%) |
3-1)手術症例病名別件数
| 病名 | 人数 |
|---|---|
| 肝移植ドナー | 13 |
| 汎発性腹膜炎 | 12 |
| LT後BS | 8 |
| MASH | 7 |
| アルコール性肝硬変 | 5 |
| 胆道閉鎖症 | 4 |
| PSC | 3 |
| LT後HAT | 2 |
| LT後 | 2 |
| MASH、胆嚢炎 | 2 |
| 胆嚢結石症 | 2 |
| 胆管吻合部狭窄 | 2 |
| LT後PVS | 2 |
| バッドキアリ症候群 | 1 |
| AIH | 1 |
| HCC | 1 |
| 糖原病1a型、慢性腎不全 | 1 |
| LT後胆道出血 | 1 |
| C型肝硬変 | 1 |
| アミロイドーシス | 1 |
| 門脈還流異常症 | 1 |
| 原因不明急性肝不全 | 1 |
| 腹腔内出血 | 1 |
| PBC | 1 |
| 急性肝不全 | 1 |
| 門脈吻合部狭窄、腹壁瘢痕ヘルニア | 1 |
| 合 計 | 73 |
3-2)手術術式別件数?術後合併症件数
| 術式 | 患者数 | |
|---|---|---|
| 生体肝移植 | 13 | |
| 脳死肝移植 | 7 | |
| 脳死肝腎同時移植 | 1 | |
| 脳死膵腎同時移植 | 1 | |
| 肝移植ドナー | 13 | |
| 肝右葉切除 | 4 | |
| 腹腔鏡補助下肝右葉切除術 | 6 | |
| 腹腔鏡補助下拡大肝左葉切除 | 2 | |
| 後区域切除術 | 1 | |
| 血管合併症 | 6 | |
| 肝動脈IVR | 2 | |
| 門脈IVR | 4 | |
| 胆管合併症 | 11 | |
| 小腸鏡下胆道拡張術 | 7 | |
| 内視鏡的胆道拡張術 | 4 | |
| その他 | 26 | |
| 開腹洗浄ドレナージ術 | 10 | |
| 開腹止血術 | 4 | |
| 血管塞栓術 | 3 | |
| 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 2 | |
| 開腹洗浄ドレナージ、気管切開術 | 1 | |
| 開腹胆嚢摘出術 | 1 | |
| 洗浄ドレナージ術 | 1 | |
| ENBD留置 | 1 | |
| 尾状葉切除術、RFA | 1 | |
| PICC挿入 | 1 | |
| 腹腔鏡下肝生検 | 1 | |
| 合 計 | 78 | |
4)悪性腫瘍の疾患別および臨床進行期別ならびに治療法別治療成績
肝細胞癌症例への生体肝移植 1例
5)死亡症例
1名(敗血症)
上記症例に関しては、mortalityカンファレンスを行った。
6)主な処置?検査
1)腹部超音波検査(含むカラードップラー)
肝移植術前術後の入院症例に対し定期的に行った。特に移植術後の症例は1日2~3回施行し、術後合併症の早期発見に努めた。入院患者(1日平均10人)に対しては、早期合併症の検索のため平均2人/日のペースで施行した。外来患者(1日平均15人)に対しては、遅発性合併症の検索のため平均3人/日のペースで施行した。
2)肝生検(2024年:計158件/年)
移植手術時の全身麻酔下、開腹下または腹腔鏡下での肝生検(楔状切除)、血管?胆管合併症の処置など全身麻酔時の肝生検(針生検)に加え、肝移植前の肝機能評価や酵素活性評価、肝移植後の肝機能障害(急性拒絶反応)、肝移植後プロトコール肝生検、及び他科からの依頼症例に対し、全身麻酔下、静脈麻酔下、局部麻酔下において、肝生検を施行した。
3)胆道造影(2024年:計 24件/年)
こども医療センターまたは自治医大附属病院放射線部において、術後外ステントチューブ挿入症例および肝移植後胆管狭窄によるPTBD挿入症例に対し、PTBDカテ交換、PTBDカテ抜去を含め、胆道造影を施行した。
4)カテーテル挿入(2024年:計 59件/年)
中心静脈カテーテル挿入15件、ブラッドアクセスカテーテル挿入15件、抹消挿入式中心静脈カテーテル挿入29件を施行した。
5)ドレーン処置(2024年:計 60/年)
肝移植後の胸水貯留および腹水または腹腔内膿瘍症例に対し、超音波ガイド下または透視下による腹腔穿刺、腹腔ドレーン入れ替えは45件であった。その他、肝移植前の胸腹水貯留症例に対し、超音波ガイド下または透視下による胸腔?腹腔穿刺を15件施行した。
7)カンファランス症例
1)病棟?外来症例カンファランス
平日の朝夕2回、全入院患者においてクリニカルカンファランスを実施した。外来で問題があった症例や、他院や患者からの問い合わせも、担当者が報告しスタッフ全員への情報共有を行った。個々の問題については、関係する他科医師と合同での症例検討を行った。
2)肝移植適応評価カンファランス
肝移植予定の2~3ヶ月前に、成人肝移植症例と小児の問題症例に対して、消化器内科、移植外科、消化器外科、麻酔科、止血血栓部、および個々の問題に関連する部署を招聘し、肝移植の適応評価のためのカンファランスを行った。
3)肝移植術前カンファランス
肝移植2日前に、全ての肝移植症例に対し、麻酔科、ICU、消化器外科、止血血栓研究部、中央手術部?ICU看護師、薬剤部、輸血部らと、肝移植術前カンファランスを施行した。
4)手術症例カンファランス(リフレクション)
肝移植症例を中心に手術内容について振り返りを行った。
4.2025年の目標?事業計画等
1)臨床面での発展
- 膵移植症例のさらなる増加。
- 小児、成人肝移植症例のさらなる増加。
- 成人並びに再移植症例への免疫抑制療法の検討。
- 短腸症へのポリアミンを用いた臨床研究および腸管リハビリテーションの推進
- 生体肝移植ドナー手術における希釈式自己血輸血の有用性の検討、生体肝移植ドナー手術における用手補助下腹腔鏡下手術の有用性の検討
2)研究面での発展
- 胆汁酸分析と質量分析イメージング法による小児肝疾患の早期診断ならびに病態解明
- 肝移植後拒絶反応の病態解明と直接イオン化法による革新的迅速診断法の開発
- 肝移植周術期における免疫抑制薬の時空間解析による3次元TDMの構築
- 肝胆膵疾患を対象としたヒトiPS細胞を用いた病態解明に関する研究
- 肝移植後拒絶反応を予測するバイオマーカーの探索的研究
- 肝移植における肝組織のテロメア長の解析
- 空間トランスクリプトーム解析による移植肝の微小免疫の解明
- 肝移植後の肝組織所見を予測する深層学習モデルの構築
- Wearableデバイスを用いた移植後早期血流障害の診断
- 高齢者術後回復期における大豆胚芽由来ポリアミン含有物の経口投与による栄養?運動機能評価
- プロテオーム解析、細菌メタゲノム解析およびメタボローム解析を用いた小児外科疾患の原因解明および新規治療法探索に関するトランスレーショナルリサーチ
上記研究に関しては、適宜研究室会を開催している。
