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小児整形外科【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2025年4月1日現在)

科長 (学内教授) 渡邉 英明
医員 (病院助教) 滝  直也
(病院助教) 小沼 早希

2.診療科の特徴

(診療科内容)

当科は、小児の脊椎?骨?関節?筋肉など運動器に生じる悪性腫瘍以外の疾患や外傷に対して、あらゆる診療を行っている全国でも希少な専門診療科です。

以下に主な対象疾患を挙げます。

脊椎?脊髄疾患:
腰痛症、椎間板ヘルニア、脊椎分離症?すべり症、脊柱側弯症、後弯症、先天性側弯症、二分脊椎など

股関節疾患:
先天性股関節脱臼、ペルテス病、大腿骨頭すべり症など

膝関節疾患:
Blount病を含むO脚?X脚変形、離断性骨軟骨炎、円板状半月板など

足部疾患:
先天性内反足、麻痺性足部変形など

その他の整形外科疾患:
斜頸、スプレンゲル変形、多合指?多合趾症、野球肘など

その他:
多発性関節拘縮症、骨系統疾患、骨代謝疾患(くる病など)、骨関節感染症 など

悪性腫瘍に関しては症例数が限られるため、栃木県立がんセンターと病診連携を行いながら、適切な治療を提供しています。
また、長期的なリハビリテーションが必要な患者さんに対しては、栃木県立リハビリテーションセンターや国際医療福祉リハビリテーションセンター(なす療育園)などと連携し、包括的な医療体制を構築しています。

(当科の特色)

1:脊椎疾患

当科では、センター設立以来、小児の脊柱変形(側弯症?後弯症)治療に最も注力してきました。特に近年では、脳性麻痺?Marfan症候群?神経線維腫症などに伴う症候性側弯症?後弯症や、先天性側弯症(半椎症など)の症例が増加しています。

また、早期発症型脊柱側弯症(Early Onset Scoliosis)に対しても、全身麻酔下でのギプス矯正治療と装具療法の交互実施に積極的に取り組んでおり、これは全国的にも数少ない対応可能な施設のひとつです。

さらに、思春期特発性側弯症には独自開発の夜間体幹装具を用いた保存治療を実施し、症候性側弯症に対しても簡易型体幹装具を開発?活用するなど、保存療法にも力を入れています。

2:足部疾患

当科では、これまで同様に、先天性内反足や麻痺性足部変形の診断と治療に積極的に取り組んでいます。特に、当院独自の保存療法(亀下?町田変法によるギプスと装具療法)に加え、足関節の可動域を最大限温存する距骨下関節温存する後内側解離術などの手術療法も実施しています。

また、幼少児に対する軟部組織解離術のみならず、思春期?成人における麻痺性足部変形に対する足3関節固定術にも積極的に取り組んでいます。

3:股関節疾患

先天性股関節脱臼に対しては、リーメンビューゲル法による保存治療を第一選択として行い、整復不能例に対しては観血的整復術を適用しています。当院では独自の観血的整復法を取り入れており、幼児期に発見される難治性の股関節脱臼にも対応可能です。

また、近年は特発性臼蓋形成不全症の症例が増えており、これに対する寛骨臼移動術(Salter手術やTripleosteotomy)の適応も増加しています。加えて、脳性麻痺などの麻痺性疾患に対しては、大腿骨減捻内反短縮骨切り術+観血的整復術を行う機会も増えています。

?専門医

日本整形外科学会専門医 渡邉 英明
滝  直也
小沼 早希
日本小児整形外科学会認定医 渡邉 英明
滝  直也
小沼 早希
日本足の外科学会認定医 渡邉 英明

3.診療実績?クリニカルインディケーター

1)新来患者数?再来患者数?紹介割合

新来患者数 370人
再来患者数 4,830人
紹介割合 93.6%

(外来担当医師)

渡邉 英明 小児脊柱変形、小児股関節?足部疾患、小児整形全般
滝 直也 同上
小沼 早希 同上

2)入院患者数(病名別)

病名 件数
特発性側弯症 22
症候性側弯症 14
先天性側弯症 3
発育性股関節形成不全 20
ペルテス病 4
麻痺性股関節脱臼 6
内反足?尖足 12
下肢形成不全 5
骨折 9
大腿骨頭すべり症 7
化膿性関節炎?骨髄炎 3
腫瘍 3
その他 21
合計 129

3?1)手術症例病名別件数

病名 件数
特発性側弯症 12
症候性側弯症 14
先天性側弯症 2
発育性股関節形成不全 19
ペルテス病 4
麻痺性股関節脱臼 4
内反足?尖足 12
下肢形成不全 5
骨折 9
大腿骨頭すべり症 5
化膿性関節炎?骨髄炎 3
腫瘍 3
その他 7
合計 102

*2025年度の手術件数は手術枠が決まっているので、通年通り年間80-100件で推移している。

3?2)手術術式別件数?術後合併症件数

病名 件数
側弯矯正手術 13
胸椎、腰椎前方固定術 4
脊柱側弯症全身麻酔下ギプス巻き 7
全身麻酔下脊髄造影術 4
先天性股関節脱臼観血的整復術 7
寛骨臼移動術 5
腱切り、腱移行、腱延長術 3
大腿骨骨切り術 5
下腿骨切り術、足部骨切り術 1
先天性および麻痺性内反足手術 6
化膿性関節炎?骨髄炎手術 3
骨内異物除去術 15
大腿骨ピンニング 1
骨折手術 10
成長抑制術 4
足3関節固定手術 4
骨腫瘍切除術 3
術後合併症 0
その他 3
合計 102

4)化学療法症例?数

なし

5)放射線療法例?数

なし

6)その他の療法(免疫療法)症例?数

なし

7)悪性腫瘍の疾患別?臨床進行期別治療成績

なし

8)死亡症例?死因?剖検数?剖検率

なし

9)主な処置?検査

脊髄造影検査

10)カンファランス症例

なし

11)キャンサーボード

[グループ名] 小児腫瘍カンファランス
小児整形外科、小児科、小児放射線科、小児リハビリテーション部、栃木県立がんセンター整形外科が参加

【実績】 1年間 11回

1月 2月 3月 4月 5月 6月
1回 1回 1回 1回 1回 1回
7月 8月 9月 10月 11月 12月
1回 0回 1回 1回 1回 1回

4.2025年の目標?事業計画等

【目標】

子ども医療センターでは、月曜日の午前?午後および木曜日の午前中に一般外来診療を行っております。また、木曜日の午後には、滝医師と小沼医師による「ギプス巻き外来」が実施されており、主に先天性内反足の患者さんを対象としたギプス治療を行っております。

さらに、月に1回「二分脊椎外来」を実施しており、子ども医療センター内の各診療科と連携しながら診療にあたっていきます。

またこれまで同様に、脊柱側弯症、先天性内反足、麻痺性股関節脱臼、麻痺性足部疾患など、専門性の高い疾患についても継続的な治療や症例数の増加を目指していきます。特にクリニカル?インディケーターとして当科が積極的に取り組んでいる脊柱側弯症の手術については、安全性を確保しつつ、より良い変形矯正が得られるよう取り組みながら、症例数の増加を図っていく予定です。

さらに小児骨軟部腫瘍の患者さんに対しては、小児科腫瘍班と栃木県立がんセンター整形外科との病診連携を強化しており、血友病患者さんに対しても小児科腫瘍班と連携し、関節症の早期発見に尽力していきます。

当科は、わずか3名のスタッフで運営しているにもかかわらず、コロナ禍以降も外来と入院患者数は減少せずに一定の患者数を維持し続けております。週2回の小児リハビリテーション前外来(月曜日午前?木曜日午後)および週1回の小児リハビリテーションコンサルトも兼務しており、多忙を極めております。また手術日は、病院執行部のご配慮で金曜日終日(週1回)および月1回の水曜日終日へと増加し、外傷や化膿性疾患に対する緊急手術も対応できる環境になってきたために、できる限り緊急手術も断らず対応する予定でおりますが、3名のスタッフでは整形外科学教室の学生指導も分担しており、日々非常に厳しい労働環境の中にあります。よって、3名のスタッフでは今後も外来や入院患者数の増加、手術件数の増加はある程度以上は難しいと考えています。

それでも、群馬県や福島県など近隣県からの紹介による手術患者も増加しており、外来患者については全国から受診があります。こうした状況の中にあっても、当科では患者さんとそのご家族に高度な医療を提供すべく、今後も最大限努力を続けてまいります。

【事業計画】

  1. 特発性脊柱側弯症のみにとどまらず、難易度の高い神経原性側弯症(脳性麻痺などに伴う)や、症候性側弯症(心疾患を伴うMarfan症候群などに関連)、および先天性側弯症(脊椎の奇形に起因)に対しても、手術治療を積極的に実施しています。これらの疾患に対する外科的対応は、全国の小児専門病院でも実施例が限られているため、当科では可能な限り対応し、対象症例の蓄積と治療実績の向上を目指します。
  2. 脳性麻痺をはじめとする神経筋疾患や、多発性関節拘縮症などの難治性先天性疾患に伴う内反足や股関節脱臼や臼蓋形成不全症に対しても、難易度の高い足部手術及び骨盤骨切り術を適用し、積極的な治療を進めています。これにより、こうした複雑症例への対応力を高め、症例数のさらなる拡充を図ってまいります。
  3. 近隣の病院では、小児疾患に対する麻酔対応が困難な施設が増えてきている現状があります。そのため当科では、栃木県および近隣県の住民の皆さまが安心して暮らせる地域づくりに貢献すべく、骨折などの外傷や化膿性疾患に対する緊急手術を積極的に実施していきたいと考えております。
  4. 日本整形外科学会、日本小児整形外科学会、日本側弯症学会、日本小児股関節研究会、日本二分脊椎研究会などの主要学会には毎年、必ず当科から学術発表を行うことを継続し、可能であれば海外の小児整形外科学会にも積極的に参加?発表を行います。また、学会発表にとどまらず、成果を論文化して国際的にも情報を発信していくことで、当科の臨床?研究活動の国際的プレゼンスを高めてまいります。

5.過去実績