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救命救急センター【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2025年4月1日現在)

センター長 (教授) 間藤  卓
副センター長 (学内教授) 米川  力
外来医長 (助教) 田中 保平
病棟医長 (助教) 藤屋 将眞
医員 (学内教授) 伊澤 祥光
(特命教授) 松村 福広
(助教) 新庄 貴文
(特命教授) 鷹栖 相崇
(助教) 山根賢二郎
病院助教 渡邊 伸貴(派遣)
藤原 慈明
塩澤 徹也
由井 憲晶(国内留学)
シニアレジデント   9名
研究生   2名

2.救命救急センターの特徴

自治医科大学救命救急センターは、2002年9月1日に県内5番目の救命救急センターとして認可された救命救急センターである。人口に比して2次3次医療機関が少ない栃木県の立地条件やこれまでの経験から、救命救急センターのスタッフだけではなく、救命救急センター当直と内科系、外科系のセンター当直体制と組み合わせるセンター当直体制により救急患者を診療する体制を作り、MC(メディカルコントロール体制)を徹底しながら救急要請を適切に受け入れ、地域の基幹病院としての役割を果たすとともに、救命救急センターを運営することを目指している。三次救急医療?診療体制としては、スタッフの増加に合わせて、救命救急センタースタッフ1~2名+レジデントであったのを2022年度からは常時2名+レジデント体制とし、さらに土日祭日?お盆や年末など繁忙期には日勤を追加する体制となった。そのほかに外科、整形外科、脳外科、麻酔科などは常時夜勤?当直医がおかれ、2018年の評価開始以来、S評価を獲得している。

また2010年よりドクターカーの運行を開始し、2022年には外傷診療能力のさらなる向上を目指してハイブリッド初療室を整備し救命外傷センターを設立、2024年にはヘリポートを整備し、重症多発外傷など県内外の対応が難しい患者の予後の改善に努めている。加えて同年、栃木県災害医学寄附講座が立ち上がり、同講座と力を合わせて災害医療の充実も目指している。

さらにTCU(一時的な入院ベッド)をセンター内に設け、各科の夜間休日診療を円滑にするための体制も整備した。

近年、高齢化と2次医療機関の弱体化により救命救急センターへ救急患者が集中するのは全国的な傾向である。さらに患者の大病院志向、一次救急を診る診療所の減少、二次救急施設の疲弊(マイナーエマージェンシーへの対応力の低下)などが拍車を掛けているが、これにコロナ禍、さらに皮肉にも新研修医制度や医師の働き方改革、そして国の医療費削減を巡る締め付けなどが加わり、その結果、残念ながら本来の大学病院、時に本来の救命救急センターとしての機能が十分に発揮できないところまで来てしまっている。これに対して自治医大としては、地域の医師会、二次医療機関、消防機関、行政との連携をはかり、自院の努力だけで無く、メディカルコントロール(MC)体制を確立し、夜間休日外来の整備、2次病院への支援、2次3次医療機関へ適切な振り分け、救急安心センター事業(#7119)、マイナ救急を推進?支援し、二次?三次医療機関がそれぞれ適切な役割が果たせるように努めている。

本来救急医療は、一病院、一救命救急センターだけで行うものではなく、病院、救急搬送機関、医師会、行政、地域の住民が一体となってシステムとして作り上げるものである。しかし先人達が苦労して構築し、かろうじて維持されてきた体制は今や崩壊しようとしている。このような押し寄せる医療限界社会の中でも、自身も変化を続け環境の変化に対応していける数少ない施設であるよう努めている。

施設認定

  • 日本救急医学会指導医認定施設
  • 日本救急医学会専門医認定施設
  • 日本外傷学会専門医認定施設

専門医

日本救急医学会専門医?指導医 間藤  卓
米川  力
伊澤 祥光
日本救急医学会専門医 新庄 貴文
渡邊 伸貴
鷹栖 相崇
藤屋 将眞
古橋 柚莉
田中 保平
山根賢二郎
由井 憲晶
杉田 真穂
日本集中治療医学会専門医 間藤  卓
日本外科学会専門医?指導医 伊澤 祥光
日本外科学会専門医 新庄 貴文
渡邊 伸貴
田中 保平
塩澤 徹也
日本外傷学会専門医 伊澤 祥光
新庄 貴文
日本ACS認定外科医 伊澤 祥光
新庄 貴文
田中 保平
塩澤 徹也
日本腹部救急医学会教育医?認定医 伊澤 祥光
日本腹部救急医学会認定医 新庄 貴文
田中 保平
日本消化器外科学会専門医 塩澤 徹也
日本整形外科学会専門医 松村 福広
日本整形外科学会認定リウマチ医 松村 福広
日本整形外科学会認定脊椎脊髄医 松村 福広
日本整形外科学会認定スポーツ医 松村 福広
社会医学系指導医?専門医 新庄 貴文

3.実績?クリニカルインディケーター

グラフに示すとおり救急患者数はH18までは増加の一途であったが、その後横ばいから減少傾向に転じた。他方、救命救急センターの受け入れ患者が適切であるかの指標でもある入院率は50%を超えた。総じてMCにより軽症患者は近隣の病院を受診し、救命救急センターが診るべき患者が搬送されたことを示唆しており望ましい傾向と言える。入院患者は、外傷(頭部外傷、胸部外傷、腹部外傷、四肢外傷、脊髄?脊髄損傷、多発外傷など)、熱傷、中毒(医薬品、農薬等)、内因性疾患(アナフィラキシー、ショック、蘇生後脳症など)など多岐にわたり、特に診療が困難な重症多発外傷患者を積極的に受け入れている。

2020年末からのコロナ禍では大きな影響をうけ、重症患者を診る救命救急センターとしての病室は最大8床まで減少し、コロナ患者が増加した時は一般の救急患者は減少するシーソー現象を繰り返したため、これまでの統計?実績との比較は困難である。さらに2022年に入っては、コロナ病床確保のあおりを受けて、県内の2次病院の救急医療体制が機能低下を来たし、本来なら2次病院が対応すべき患者が救命救急センターに押し寄せる状況が続いた。2024年となり新型コロナは収束傾向となったが、今度は「医師の働き方改革」がはじまり、二次病院の夜間休日外来診療機能が低下し、院内も多くの科が宅直体制となり、そのもろもろのしわ寄せを救命救急センターが吸収せざるをえない混沌とした状況に再びなりつつある。

なお、厚生労働省の救命救急センター評価においては、2018年県内唯一のS評価を取得し、以降県内最高点で評価を維持している。

救急患者統計

  H14 H15 H16 H17 H18
救急患者数(人) 29,612 33,913 35,339 35,606 34,593
救急患者数
(即入院以外)(人)
25,263 28,958 30,432 30,581 29,683
即入院患者数 (人) 4,349 4,955 4,907 5,025 4,910
即入院率 (%) 14.7 14.6 13.9 14.1 14.2
救急車搬送数 (件) 4,490 5,158 5,136 4,970 4,649
  H19 H20 H21 H22 H23
救急患者数(人) 32,620 25,458 23,599 22,682 22,434
救急患者数
(即入院以外)(人)
27,401 20,400 18,438 17,046 16,798
即入院患者数 (人) 5,219 5,058 5,161 5,636 5,636
即入院率 (%) 16.0 19.9 21.9 24.8 25.1
救急車搬送数 (件) 4,515 4,383 4,563 5,225 5,577
  H24 H25 H26 H27 H28
救急患者数(人) 20,986 20,131 19,025 16,858 15,238
救急患者数
(即入院以外)(人)
15,368 14,803 13,802 11,885 10,478
即入院患者数 (人) 5,618 5,328 5,223 4,973 4,760
即入院率 (%) 26.8 26.5 27.5 29.5 31.2
救急車搬送数 (件) 5,573 4,953 4,912 4,489 4,327
  H29 H30 R1 R2 R3
救急患者数(人) 14,448 14,226 12,966 9,839 9,628
救急患者数
(即入院以外)(人)
9,796 9,492 8,281 5,614 4,946
即入院患者数 (人) 4,652 4,734 4,685 4,225 4,682
即入院率 (%) 32.2 33.3 36.1 42.9 48.6
救急車搬送数 (件) 4,351 3,941 3,818 3,450 3,625
  R4 R5 R6
救急患者数(人) 9,420 9,696 9,919
救急患者数
(即入院以外)(人)
4,829 4,961 4,814
即入院患者数 (人) 4,591 4,735 5,105
即入院率 (%) 48.7 48.8 51.5
救急車搬送数 (件) 4,035 4,183 4,420
ドクターヘリ搬送数 (件) 23 51

注1)即入院患者数は、救急患者数の内数である。

救急患者数、入院率推移

4.2025年の目標?事業計画等

救命救急センターは本来社会の必須インフラであるが、最近は稼働率など収益面についても改善が求められている。救急医療の最後の砦としての役割を保ちつつ両立を目指してゆくのは困難であるが、引き続き組織の維持と発展に努めたい。

全国的に救急医の不足は続いているが、県内の救命救急医療体制においても、幾つかの基幹病院および救命センターで医師の危機的な不足が顕在化している。それを受けて、当救命救急センターが医師不足を改善する役割について、期待がこれまでになく大きくなっている。ハード面の整備が一段落したこともあり今後は人員の確保や派遣による面で、救急医療を支える体制の構築にも力を入れたい。

5.過去実績