臨床検査部【アニュアルレポート】
1.スタッフ(2025年4月1日現在)
| 部長 | (教授) | 紺野 啓 |
|---|---|---|
| 副部長 | (教授) | 岩津 好隆 |
| 医員 | (講師) | 水品 佳子 |
| (助教) | 山本さやか | |
| 病院助教 | (助教) | 久保田香菜 |
| (助教) | 藤村 研太 | |
| レジデント | (臨床助教) | 野村 祐希 |
| 参与 | 臨床検査技師 | 日高 裕介 |
| 技師長 | 臨床検査技師 | 土谷こずえ |
| 副技師長 | 臨床検査技師 | 簗瀬直穂美 |
| 早津かおり | ||
| 栁田 浩己 | ||
| 田島 桂子 | ||
| 技師配置 | 検体?生理検査?とちぎ子ども医療センター | 84名 |
| 健診センター | 3名 | |
| 生殖医学センター | 4名 |
2.臨床検査部の特徴
自治医科大学附属病院は、本学建学の理念を実現するため、地域で診療に従事する医師を養成する臨床の場の提供を第一の役割としている。一方で、栃木県の基幹病院としてのみならず、茨城県西部、埼玉県北部を含む広い医療圏における高度医療の拠点としての役割も有している。従って当臨床検査部門の使命は、本院が質の高い医療レベルを維持?遂行できるよう、医学部臨床検査医学講座と協働で貢献することである。
臨床検査部は、昭和49年4月の創設以来40年以上にわたって活動してきた。この間病院のリニューアルに伴い、平成17年度には検体検査部門が、平成19年度には生理機能検査部門が、旧手術室跡地に移転した。さらに採血室も平成24年に同所に移転し、主要部門の機能的な連携が図れるよう、1箇所で集中的に業務にあたっている。その後、2018年には、検体検査、生理機能検査、病理検査、輸血部の4部門でISO 15189認証施設の認証を取得し、現在に至っている。
検査の中で、免疫固定法、骨髄像、遺伝子検査、超音波診断、肺機能検査、負荷心電図、ホルター心電図、脳波や筋電図の実施判読などの高度な判断が必要な検査については、検査部所属医師および関連する専門の医師が直接、検査の実施や報告書の作成を行っている。
また臨床検査部門ではこれまで、医師の研修を積極的に受け入れてきた。特に検査部における初期臨床研修医の月単位での超音波研修は、本学における初期臨床研修カリキュラムの特色の一つとして認知され、本院の研修医獲得にも貢献している。一方、現在専門医研修として行われているのは、日本専門医機構認定の臨床検査専門医と日本超音波医学会認定の超音波専門医の研修である。臨床検査部所属医師には両専門医の取得者が複数おり、若い医師の指導にあたっている。また、当部門超音波検査室所属の臨床検査技師には、日本超音波医学会認定の超音波検査士の資格取得を義務化している。現在の所属技師中7名は取得済みで、未取得者も順次取得を目指して研修中である。その他、日本臨床検査同学院、日本臨床衛生検査技師会などが認定する資格も、検査部所属の複数のスタッフが取得している。
認定施設
- 日本専門医機構認定臨床検査専門研修基幹施設
- 日本超音波医学会認定超音波専門医研修基幹施設
専門医?認定医
- 日本専門医機構認定基本領域臨床検査専門医
紺野 啓、岩津 好隆、山本さやか - 日本超音波医学会認定超音波専門医
紺野 啓(指導医)、山本さやか - 日本呼吸器学会認定呼吸器病専門医
水品 佳子
このほか、さいたま医療センターとの連携も積極的に行っており、部長?技師長による連絡会議を2ヶ月に1度程度開催し、施設間で情報の共有に努めるとともに、技師の人事交流も継続的に行っている。
3.実績?クリニカルインディケーター
1)診療実績
検体検査部門の業務内容は採血、一般、血液、化学、血清、遺伝子、細菌などの各分野に分けられ、生理機能検査部門は循環器、脳神経、呼吸器、超音波に分けられる。また、新棟や子ども医療センターおよび健診センターにはサテライトの検査室があり、各々に技師を配置し検査を行っている。各技師は主たる業務をそれぞれ担うが、マンパワーを効率的に活用するため、午前中は採血、午後は心電図検査などと複数の分野の業務をこなしている。
検査部における年間の検査数は入院、外来の検体検査、生理機能検査を合計して、およそ700万件である。
外来採血室は、2024年1月より「診察?予約検査時間に合わせた採血」に移行した。あわせて外来化学療法患者等の優先採血も本格稼働し、大幅な混雑緩和と採血待ち時間の短縮が実現した。現在、採血待ち時間は従来の60分超から30分まで短縮され、患者サービスが大幅に向上しただけでなく、外来診療の効率化にも貢献している。また、医業のタスクシフト推進の取り組みとして、入院4病棟において朝の採血を行っている。
当部門は、医学部および附属病院における医師の卒前?卒後教育にも積極的に参加している。卒前教育では、医学部4年生のBSL実習において、検査室見学の際の説明、実習用検体の準備などについて、医師だけでなく検査技師もサポートを行っている。また卒後教育として、臨床検査部をローテートする初期および後期臨床研修医は常時2名程度おり、その多くは超音波検査の研修を行っている。患者の割り付け、検査の準備などについては検査技師が担当しサポートしている。
当検査部の所属医師は、それぞれの専門分野で活躍するとともに、各科の医師と連絡を取りながら、検査を円滑に行うためのアドバイスを行っている。新たな検査法の導入?開発はもちろんのこと、検査手法の改善、精度管理、病院経営改善策の企画?立案などを行うことで、検査室業務の適正化を進めている。医師の卒前?卒後教育に積極的に関わるだけでなく、様々なアドバイスを行って技師の育成にも貢献している。また、院内感染対策委員会、臨床検査部運営委員会、ICT、医療機器委員会など、多くの院内委員会に参加し活躍している。
当検査部の所属技師も、数多くの院内委員会に参加している。また、専門医教育も含めた本学?附属病院の医師卒前?卒後教育に協力するだけでなく、検査技師養成校など、外部の養成機関から実習生を数多く受け入れ、臨床検査技師の育成にも尽力している。さらに、栃木県臨床検査技師会の諸活動では中心的役割を担い、種々の検査講習会を担当している。また検査の精度管理の一環として、栃木県精度管理委員会にも参加しており、ここでも中心的役割を果たしている。
なお、本院職員に臨床検査の情報を伝え、連絡事項などを迅速に周知するため、4回/年「ラボニュース」の発刊も行っている。
2)臨床検査部(2024.1~2024.12)
当検査部の2024年の検査総数は、検体検査、生理機能検査あわせて6,992,359件である。検査区分、入院?外来ごとの内訳は表に示した通りである。
| 区分 | 入院 | 外来 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 検体検査 | 一般 | 89,296 | 228,909 | 318,205 |
| 血液検査 | 521,284 | 536,884 | 1,058,168 | |
| 血清検査 | 143,189 | 498,686 | 641,875 | |
| 採血室 (尿素呼気試験) |
4 | 219 | 223 | |
| 生化学検査 | 1,753,435 | 3,041,849 | 4,795,284 | |
| 遺伝子検査 | 590 | 3,990 | 4,580 | |
| 細菌検査 | 77,896 | 37,119 | 115,015 | |
| 合計 | 2,585,694 | 4,347,656 | 6,933,350 | |
| 生理機能検査 | 循環器検査 | 10,540 | 26,186 | 36,726 |
| 脳神経系検査 | 2,321 | 1,014 | 3,335 | |
| 超音波検査 | 2,234 | 9,643 | 11,877 | |
| 肺機能検査 | 993 | 5,698 | 6,691 | |
| 眼底カメラ | 229 | 151 | 380 | |
| 合計 | 16,317 | 42,692 | 59,009 | |
| 総合計 | 2,602,011 | 4,390,348 | 6,992,359 |
3)先進医療の実績
遺伝子検査は、PCR導入後に需要が増加し、細菌検検査室は、結核、各種ウイルス、MRSAなど各種感染症に対応した検査施設として再構築されるに至っている。質量分析装置の導入も迅速な報告に寄与している。当院は、全ての領域の超音波検査を中央施設部門で行う、超音波では日本を代表する施設のひとつで、院内における各種疾患の診断に貢献している。同時に、超音波の臨床的有用性に関する研究、音響組織特性に関する各種の研究、超音波エラストグラフィにおける新手法の開発研究などを進めながら、探触子と感染症媒介の可能性や、超音波を用いた解決法の検討など診療上の問題点の解明?解消にも取り組んでいる。
4.研究業績
臨床検査部臨床検査技師の業績集として毎年度、「自治医科大学附属病院臨床検査技師年報」を作成している(2024.4-2025.3分は第48号として刊行予定)。具体的な内容はそちらをご覧いただきたい。
5.2025年の目標?事業計画等
例年同様、診療報酬に見合った検査の見直し、検査機器の集約による業務の効率化と経費削減などを通して病院の経営改善に積極的に貢献するとともに、より一層の患者サービス向上に取り組んでいく。また、ニーズの高い超音波検査の業務拡大と待ち時間短縮に向け、検査システムの見直しと技師教育を加速する。同時に診療各科のニーズを的確に把握し、状況によっては共働を模索するなど、幅広い方策を講じて、一層の業務効率化と業績向上を目指したい。医業のタスクシフト推進には継続して取り組む方針である。特に需要が高い病棟採血など病棟業務の拡大について積極的に取り組みたい。
ISO 15189:2022が2022年12月に改定?発行されたことに伴い、本年は新基準による認定に移行するため、移行審査を受審予定である。部門一丸となって取り組み、スムーズな認定取得を目指したい。
大学附属病院の検査部門として、病院内部での検査実施に重点をおき、引き続き信頼される検査部をめざしたい。精度管理は臨床検査の根幹に位置づけられることから、今後も最大限の配慮を続け、地域の基幹病院として他施設の模範となるよう、精度管理体制の維持に努める。外部精度管理は、これまでと同様、日本医師会、日本臨床衛生検査技師会、栃木県臨床検査技師会、CAPなどの事業に参加する。また内部の研修事業として引き続き、検査データの判読、エコーカンファレンス、文献紹介などを行い、常に新しい知識の共有に努めたい。
大学附属病院の検査部門として、当部門はこれまで、各診療科が行う臨床研究のための追加検査に積極的に協力してきた。しかしこれらに要する時間や設備?備品、マンパワーは基本的に病院にとっての持ち出しである。今後はこれらの実態を明らかにし、必要に応じて大学予算の配分を求めるなど、適正化に取り組んで、病院経営の一層の改善に貢献したい。
また多くの臨床検査技師を抱える当部門は、健診センター、生殖医療センターなど他部門の検査業務にも人的資源を供出し協力している。経営改善のため効率化が必要な部分については、人員の配置や区分の最適化などの改善策を積極的に提案し実現したい。
